「揚げ物をする際は防衛省に許可を取り爆発物処理班を呼んでください」

メシマズの話をしよう。

 

【メシマズとは】

作る飯が不味いことを勝手にそう呼ぶ。作った人を指す場合もあれば、できた物を指す場合もある。飯以外も漏れなく不味い。対義語としてメシウマを設定。(他人の不幸で飯がうまいとは別の意で使う)

なぜ不味くなるのかはこっちが知りたい。知ってたら不味くならないように努力くらいしたい。不味くしようと思って作ったことなんて一度もない。

 

【なぜ作るのか】

それはほんと、出来心。今回こそうまくいくんじゃねえかという謎の期待が高まった時に作る。が、もちろん不味い。

あ、あの動画見たことある?物が並んでて、猫ちゃんは普通にすり抜けながら歩いてくんだけど、わんちゃんは飛び越えようとして物をはちゃめちゃにとっちらかしちゃうやつ。つまりあれ。メシウマな動画やレシピが流れてきて、えっうまそうしかも簡単そうこれならワイでも作れるやろって気にさせてくる。そういうこと。

 

【そして起こる負の連鎖】

そもそもセンスがなくてメシマズをやってるので、経験と努力でマズの部分を補わなければならないのに、当然不味いのでそう度々経験したいわけがない。金も時間も腹も無駄。圧倒的失敗経験。これがメシマズを負の連鎖に追いやる。センスがないのに加えて経験も努力も足らないままなので、時々やってくるチャレンジタイムでひたすら不味いものが出来上がる地獄の完成である。

 

ここまで分かっていてもメシマズは、メシマズ。

 

【メシマズの歴史を振り返る】

①なぁにがサクサクじゃボケェ

クッキーってサクッとしてるとか言うじゃん?あれは嘘だから。気をつけて。そのクッキー、ふわふわするよ。

お豆腐にもかわいらしい幼少期があって、お菓子作りに勤しんでた頃があるわけ。クッキー、まじ、ふわっふわに仕上がった。そうはならんやろ。わしかて思う。作ろうとしたのアイスボックスクッキー。三度中三度、百発百中のふわふわ。一回くらいサクサクせえや。

兄(メシウマ)曰く、「あのクッキー?作ってよ。俺は作れんのだ。食べたいけど、俺が作るとどうしてもサクサクになっちゃうからさ。あれお前にしか作れんやんね、あのふわふわの?クッキー?」だぁれがオリジナルレシピじゃばかたれーぃ😇😇😇😇😇😇😇?を付けるな、?を〜😇😇😇😇

その前にも色々作ってきたが、それらはまあ幼さ故の失敗で許されようとしていた。だが、否。ここにきて、豆腐屋は自身がメシマズ側の人間だと悟る。

 

②幸せなら手を叩こう

中学生くらいかなぁ。親が不在なので夕飯を自作せねばならず、ハンバーグにチャレンジ!イメトレだけは完璧だった。とりあえず形になったものを食べようとした。ら、箸入らんやんね。肉塊。これはもう肉塊やん。私の知ってるハンバーグではない。誰も知らん。なんやこれは。

そして知る、ハンバーグが切れるのは当たり前のことではない。とても幸せなことなのだ。そう、幸せというのは当たり前の中に、あなたのすぐそばにあるものなのです。ハンバーグに拍手。

以降、両親不在で夕飯をなんとかしなければならない時には兄の手伝いに徹し、おこぼれをもらう。

 

③時限式爆弾

クッキーって言うか、ぶるーどねーじゅ?みたいな名前の、なんかシャレオツで美味しそうなものに挑戦した高校のバレンタイン。だって手作り友チョコブームだったんだもーん。

部活で配ったら、すごいもうなんか、苦情が殺到した🤗🤗🤗🤗消費者庁もびっくり〜やだ〜🤗🤗🤗🤗🤗🤗へえ、みんなあれを食べたんやな🤗🤗🤗🤗🤗🤗私は食べてないで🤗🤗🤗🤗🤗🤗

「食べようとしたら爆発したんだけど💢💢💢」

えっそうなん???大変やったな、まあ私食べてないから知らんけど🤗🤗🤗🤗🤗🤗

ついに調理後に爆発するという、禁断の時限式の開発に成功した。いや目指してねえわ。

 

この辺りから、メシマズの中でもかなりのレベルだと自覚し、調理とは距離を置く。調理実習も食器担当。食材に触れてはならない。

そもそも、私が作るよりもうまいものがこの世に溢れてるのに、なんでわざわざ自分で、よりによって不味いものを処理する羽目になるとわかっていながら作らねばならんのじゃ。私だってうまいものを食べたい。

 

④ラザニアは湯煎式

だいぶ選抜してるものの、数々の名品を生んできた私に、「誕生日プレゼントは手作りラザニアがいい」という恐れ知らずのリクエストが入ったので、腕によりをかけて作ることになった。

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部屋中が煙に包まれ、視界を失った。いわゆるホワイトアウトってやつだな。はー🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️火災報知器なくてよかった〜〜🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️はっぴーばーすでぇぇえええ〜🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️🤦‍♀️

オーブントースターから出したはいいが、レシピの時間の半分も焼いてねえ。リクエスター(メシウマ)が「火の通りが心配ならフライパンで加熱したらえんやで」とアドバイスをして、アイスを買いに出かけた。デモ私賢イカラ分カル。このままフライパンに乗せて火つけたら、フライパンもアルミもえらいことになる。えっ水入れれば良くね?理科で習ったよ。水入ってたら紙も燃えない。それだわ。それしかねえ。帰ってきたリクエスターはアイスを取り落とすほど腹を抱えて爆笑した。世の中ではコレを湯煎と呼び、ラザニアの調理では使用しないと教わった。

 

⑤まずはこちらをご覧ください

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みんな大好き餃子やで。王将に謝った方がええで。

 

⑥助けて

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もはやコンロ直火焼き状態でも写真を撮る余裕がある。ありとあらゆる失敗をするとちょっとやそっとじゃ慌てない。ここから更に友達にLINEしてツイートしてから、調理?掃除?に戻った。でも本当に恐ろしいのはネタのために失敗したわけではないということ。二度とフライパンを振るな。

 

⑦お待たせしました、最高傑作

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「ボンド」「産業廃棄物」「カビた豆腐」「グロ画像」「コンクリート

すごい言われようだな、待て待てよく見ろ。これは、「抹茶ミルクプリン」だ。いいな?リピートアフターミー、ディスイズマッチャミルクプリン。

母が口に入れた瞬間吐き出し、父は顔を背けて話題にすることすらなかったという伝説の、メシマズ最高傑作(暫定)。

たぶんあれだな、これはあれだ。ゼラチンを寒天にしたのがいけなかった。ツイッターですっげえ叱られた。何度か上げてるのに、上げるたびに一定数のファボくるやんね。

でもメシマズは思う。ゼラチンも寒天も固めるのが仕事じゃん。代理くらいできるやん。だってゼラチン売ってなかったんだもん。私はむしろ被害者。

 

【今後の展望】

歴史はかなり抜粋してお送りしたが、実際はキリがない。でもメシマズだって時々は食べ物を作れるし、作れるようになりたいと思う。

ネタやわざとと思うかもしれないが、こちらは真剣勝負をしている。米を洗剤で洗うとか、砂糖と塩を間違えるとか、レタスとキャベツの区別がつかないとか、セイロをそのままコンロに乗せるとか、そういうぶっ飛んだことは一切してない。何度も言うが、私だってうまいものを食べたいのだ。なのに出来上がるのもは大抵ぶっ飛んでいるのだ。

お豆腐の場合、「味付け」と「加熱」が壊滅的というのが最新の見解。ので、ホットケーキ、カレー、鍋はできる。ホットケーキミックスやカレールーや鍋の素があるし、調理は基本的に放っておけば良いからだ。天才だな。

更に切るや剥くはできる。包丁は工作と同じだ。ある程度の魚だったら捌ける。ただし、ピーラーでジャガイモは剥けない。私の皮が剥けることになる。

まだまだ研究段階やけど、まあ伸び代だけはあるってことや。ドンマイドンマイ。最近寒いから、ほぉんだんしょこら、作ろうぜ。

 

お豆腐が揚げ物を作る日は遠い。

兄くんの結婚式によせて

 兄くんへ

 結婚、おめでとう。

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■ 傍若無人の章

 兄くんは幼いころから、兄妹喧嘩をしても決して手を出さない、優しき兄でした。一方、私は暴力にまで訴え、それでなお毎回口だけで完膚なきまでにボコされ、幾度となくパパちゃんに泣きつきました。でも、6個入りのチョコパイを家族4人で分けるというのに、兄くん1人で3個も食べたことは、今でも許していません。「甘いものが食べたければ砂糖でも舐めろ」と言いましたが、私は甘いものではなくチョコパイを食べたかったので、この件については全然納得していません。

 高校生の私が勉強している間、兄くんが突然ぬいぐるみを投げつけてくることがありました。何度か投げ返しましたが、その度投げつけられ返されるので、私はほとほと呆れてそのまま放っておいたら、投げ返せと兄くんは怒りましたね。真剣な顔つきで「俺はかまってちゃんではない、俺はかまいたいちゃんだ」と断言しました。詳しいことはよく分かりませんが、それはかまってちゃんです。

 バレンタインには、「チョコをもらえない野郎どもに配る」と言って、生チョコを作って、学校で配ってましたね。デスラブちゃんにも「妹が世話になってる」とチョコを渡すほどあったのに、なんで私にはわさび入りしかくれなかったんですか。せめてわさびを外見から悟らせないように工夫とかできなかったんですか。

 けれども、私が明け方に数学を解けずに泣いていたら、眠気眼をこすりながら、一緒に解いてくれました。超単純なケアレスミスごときで起こしてごめんね。あれは申し訳なかったと思っています。思いやりのある兄で感謝です。

 兄くんの優しさを知りつつも、反抗期に突入していた私は、君になめ腐った不遜な態度をとっていたかと思います。もうしわけ。恥ずかしいけどそういうシーズンだったので許してね。兄くんも不機嫌に起き、怪獣のような足音を響かせて階段を降り、爆音を立ててドアを閉めてたからお互い様だと思おうね。

 

■ 前代未聞の章

 数々の武勇伝を残す兄くんですが、その破天荒ぶりはやはり高校で花開いたように思います。

 生徒会選挙では、推薦人として全校生徒の前でスピーチしましたね。自販機に午後の紅茶ミルクティーも入れろ、会長立候補は入れてくれると公約してくれたから推薦すると熱く語ってました。でも、スピーチはガルマちゃんの追悼オマージュだから、ちょっと不向きだったのかもしれません。あと、高校生の9割以上が分からなかったと思います。とりあえず信任は得られてよかったね、会長。

 夏休み前から、兄くんは誰も寄り付かない中庭でレジャーシートを敷いてお弁当を食べ始め、上階の教室から黒板消しや雑巾を投げられてました。私は、何をしているのかとデスちゃんと笑いました。帰宅してから「突然中庭で人がいたらびっくりするだろうから数日前から飯を食うことにした」と聞いて、ますます訳が分かりませんでした。終業式になって、担任も巻き込んで中庭でスイカ割りをしていましたね。割れてよかったです。竹刀はちゃんと剣道部に返しましたか?下準備と根回し、企画性、後片付けまで完璧にやり遂げ、担任およびクラスメイトからの称賛を受けていました。

 結果、クラスで兄くんを阻むものはなくなり、体育祭では段ボール製ガンダムでダンスを踊り、文化祭では「何の案も出さなければガンダムの劇をやらせる」とクラスメイト脅しました。当時はよく分からなかったですが、行動力に服を着せたらこんな感じになると思います。

 兄くんの知名度が上がるほど、私は知らない人から「ボブ(兄くん公認のあだ名)の妹か」と聞かれ、否定して回りました。顔が似ているからすぐわかると言われました。心外です。

 船に乗るようになってからは、散髪はバリカンで丸坊主しかないことが気に食わず、髪を星形に残して刈って星の部分を金髪にしたり、Windowsの電源マークに残して刈って「ここ、俺のやる気スイッチ」と言ったり、モヒカンにしたり、逆に真ん中だけ刈ってお茶の水博士になったり、髪型はもはや遊び尽くしましたね。

 出港前の買い出しでは、スーパーでカートを2台カゴを4つ全てにカップ麺やお菓子・ジュースを山盛り入れて、周りの子供たちから羨望の眼差しを浴びてました。大人になればあれが許されると、きっと子供たちを勘違いさせたことでしょう。親御さんがあわれでなりません。

 兄くんはいつだって常人の考えなど及ばないところにいます。

 

■ 初志貫徹の章

 兄くんは幼少期から変わらずピーマン・ししとうをこよなく愛し、慈しんできました。けれども、保育園児の頃にはまだ「人に流される」なんてかわいらしい一面もありましたね。チューリップ組の子どもたちからピーマンは不評だと分かると、兄くんはその日のお買い物でママちゃんに「ぼくねえ、もうピーマン食べないんだよ」と得意げでした。ママちゃんは大喜びで「じゃあピーマン(高値)買わなくていいね」とガッツポーズをしたようですが、すぐさま「ビィマンガッデエエェェェェエエエッッッ」と泣きつきました。その話は、何度聞いても腹を抱えて笑い転げます。それ以降でしょうか、兄くんが「人に流される」ことなくなり、自分を貫くようになったのは。

 高校生になってからもピーマン愛はやむことを知らず、「年中ピーマンを食べたい」と言い出し、畑を持つ祖母から苗と土をもらい、ピーマンと真摯に向き合い、欠かさず水をやり、朝どれピーマンを食べ、冬までずっと世話にいそしんでいました。これまで夏休みの宿題の朝顔もプチトマトも全て枯らし、観察日記を枯草で埋めた兄くんはもういません。「植え替えさえしなければ年中ピーマンを食べられるんだ」と言い出した時、畑でも始める勢いがあったと思います。真水が貴重品でなければ、きっと船上でピーマンを育てたことでしょう。

 結婚が決まった頃から、突然ダイエットを始めましたね。ずっと船上生活で朝も夜もなく稼働するため、おおよそカロリーなど気にしていられず、悠に100kgを超えていたのに、限られた食材の中で、食事を制限し、筋トレをし、己を律し、着実に成果を上げていく兄くん。いつの間にか筋肉とプロテインの知識が豊富になって、引き締まった身体で帰ってきた兄くんを見て、度肝を抜かれました。ヤー!パワー!

 私は、兄くんの幼いころからなりたいと語っていた「漁師」を貫き通したところを、なんやかんや言いつつ、すごいなと思っています。ただ、保育園の時の「しょうらいのゆめ わんちゃん」はもういいのでしょうか。楽しみにしています。

 ゲームが上手くて夏休みの一晩でマリオを走り切りパパちゃんに叱られるところ、金遣いが豪快過ぎてコンビニのノリでヴィトンに行って会計になってからATMに走ったところ、ぐちぐちせず嫌なことも笑い話として昇華するところ、兄くんらしさがいっぱいで、尊敬しています。(それはそれとして、我らがお豆腐家の中で私に唯一厳しいことを言う兄くんのことは避けがちです。)

 

■ 天変地異の章

 そんな兄くんから婚約指輪について聞かれた時は、まさに寝耳に水。天と地が入れ替わるかと思い、逆立ちして驚きました。嘘です。普通に飛び跳ねて驚きました。なにかの間違いかと思い、誰と誰の何がどうだって?と根掘り葉掘り聞きたい気持ちを抑えて(触らぬ神になんとやら)、婚約指輪について調べました。おかげで一時期私のネット広告はブライダル関係であふれかえりました。むなしい画面ですね。

 今までお付き合いの気配を家族には露と漏らさず、茶化されまいと嫁っちとの関係をひた隠しにしてきたのかと思い、微笑ましかったです。兄くんが「まだ不確定だから親には言うな」と密命を下すものだから、私は私で苦しい4か月ちょっとを過ごしました。何度言葉が漏れそうになったことか。そのため、親以外には率先して言いふらしました。

 以降、陸に上がる度に、少しずつ少しずつ結婚の話を進め、「花嫁姿を見たい」と言って結婚式を挙げることにし、コロナによって予定変更を何度も余儀なくされ、一時は式当日までお互いの親の顔を知らぬままなのではとすら危ぶまれながら、しかし兄くんは海上で準備を進められないので嫁っちに頼りつつ、なんとか今日という素晴らしくめでたい日を迎えましたね。

 これから新たな道を歩んでいくにあたって、兄くんには幸せになってほしいし、嫁っちのことを幸せにしてほしいです。二人で末永く、仲良くお互いを幸せにできるあたたかい家庭をつくってほしいです。なんやかんや家族思いの兄くんならできると信じています。

 

 改めて、おめでとう。

 

隷書体と「孔宙碑」の話

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 ドンときてスッ、ぐいーんとしてススンッ。

 こういうのを「隷書体」と言う。

 看板とかで見るときあるかも?あと日本酒とか?隷書体の酒ラベルってかっこよく感じるよね。ついつい買っちゃうよね。

 

隷書体の話】

 こういうのの「こう」ってなんだろうね。なんて言おうね。

 隷書体の特徴はいくつかある。漢字にしては珍しく縦より横に長い字形をしているとか、次の字までが遠くて隣の字の方が近いとか、水平・垂直を意識した画とか、だから肩がないとか、撥ねがないとか、入筆が丸いとか、でも全体は篆書体より丸くないとかとか色々ある。でもたぶん、一番の特徴は「波磔(はたく)」だ。

 横画の中で主役を決めて、それだけ長く引く。まっすぐ引くだけだけど間延びしちゃうので、波打たせる。それが波磔。横画をいくつも波打たせると鬱陶しいし、字として読みにくい。やはり主役は一画。ちょうどいい横画がなかったら、右払いとかを波打たせる。左払いは払わない。なぜなら書いてきた人のほとんどが右利きだったから。左利きの人にはとてつもなく書きにくいと思う。漢字の成り立ちってそういうとこある。

 でも右ばっかり波打つと、バランスが悪い。右が重たくって、字が倒れちゃう。から、左に重りをつける。右にいい画がなければ、左の重りだけの字もある。どっちも丁度いいのがなければ、なんにもない時もある。でも字形や線の引き方は同じだから仲間に入れてあげてほしい。

 波磔は横画の群れの中で特に威力を発揮する。しかし、横画が群れてるときは等間隔になっているのが美しいと言われている(し、実際そう思う)。えっ、波打つ線に?等間隔…とは?このバランスの取り方が難しい。付かず離れず、目立たせなくてはならないのだ。

 こんなややこしい書き方をするようになったにも理由がある。まず「隷書体」は漢字の書体(篆・隷・草・行・楷)の中で2番目に古参。最古参は「篆書体」で、一言でいうと岩に彫ってた字。(前にブログにまとめた「豆腐屋之印を作る話」にちょろっと詳しく出てくる。)

kusattamame.hatenadiary.com

 その篆書体の流れを受けつつ、人類は叡智により、いよいよ墨と筆というスーパー筆記具を開発した。岩を彫るんじゃなくて、竹とか木とか布に字を書くようになってきた頃、隷書体は産声を上げた。今まで岩に彫ってきた字と同じように、縦画は垂直・横画は水平に引くぞ!でも岩より狭いし小さいから、いっぱい書くためには縦長には書けないぞ!いっぱい書くために縦の長さを抑えるぞ!うわっ、真っ直ぐじゃないから書きにくいぞ!木目や竹の節、布の皺に筆あたって変な太さになっ…えっ!?おしゃじゃない!?!???!?!???この変な太さの線おしゃじゃん!!!おしゃおしゃ!!!!天才では!??!?!??!IQ700なのでは!?!?!!!!?!??!??オギャア

 こうして隷書体は生まれた。(完)

 生まれたては結構控えめだった波磔も、だんだん自信を持ち始めて主張が激しくなっていった。隷書体で書かれた字を元に、沢山の石碑が彫られた。その頂点に「曹全碑(そうぜんひ)」が君臨する。

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石碑は中国に現存しているが、めちゃくちゃ厳重に保管されている。最高傑作過ぎてありとあらゆる人が拓本を採ってきた結果、碑面が傷んでしまって、若干弱弱しさを感じる線になってしまったらしい。でもなんだろうな、美しいよな。波磔の画がとても滑らかで艶っぽいんだけど、それを浮かせないように他の画が調和を取ってる。すごい。たぶん横潰しは一番強い。ぺったんこ。なのに美しく整ってるのは流麗な波磔のおかげなんだろうなぁ。

 次点で「乙瑛碑(いつえいひ)」や「礼器碑(れいきひ)」の名がよく挙がる。隷書体然とし、どれも特徴を兼ね備えている。乙瑛碑は若めの隷書なのでまだ横潰しが弱くて正方形に近いし波磔も短くて控えめ。礼器碑は三角の鋭めな波磔であまり間伸びさせない。…んだけど、その辺の差をあまり出せなかった。

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 それらのいづれでもなく、今回はそこそこマイナーな「孔宙碑(こうちゅうひ)」の話。なにせ石碑の状態が良くなく、見やすい拓本が出回っていない。でも、好きなんだよね~。ファンなんだよね~。

 ということで、復元付の拓本をいただいた。神 IS GOD。私は無敵。

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と、思ったけど、ほんとに拓本がガサガサすぎてこれはかなりの修練が必要だな〜ってなった。

まだまだ礼器碑のくせでしっかり三角の波磔を付けちゃうけど、孔宙碑はもっと滑らかに波打つ感じだった。こんなに「はい!ここが波磔です!」ってしない。うーん難しい。「漢」のバランスとか面白い。付け焼き刃で書くものでもないので、もっと練習して向き合って行きたいなって思いました。諱が宙ってかわいいね。

我が家にやってきたネコチャンの話でも読め

 9月某日、我が家にネコチャンがやってきた。

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【ネコチャンと我が家】

 ことの始まりは数日前。父の会社のシャチョウ家の車庫で、野良ネコチャンが5、6匹の子ネコチャンを産んだ。保護したものの、数匹の子ネコチャンを一気に世話するのは現実的でない。母ネコチャンと離してしまったので、体温調節もミルクも排泄も全てに人の手が必要になる。交代で世話をしても、シャチョウ一家はプロではないのだ。話を聞いた母は、かねてよりネコチャンを飼いたがっていたので大歓喜した。飼いたいけれども買いたいわけではなく、保護施設や保護猫カフェ・譲渡会などにちらほらと偵察をしていた。以前から、父が「獣とは暮らせない」「飼うなら外だ」と渋るので、この時まで実行には至らなかった。本気で飼うのか飼わないのか。夕飯の会話はそれに尽きた。シャチョウという近しい縁もあって、最後は父が「本当に飼うなら、一度直接見に行くべき」と、許可した。私は特に反対も賛成もしなかった。買うわけじゃないなら特に言うことはない。一応犬派だが他を嫌ってるわけでもない。どんな動物にしろ、飼うならきちんと飼いたいとだけ思っていた。

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【ネコチャンときゅー】

 翌日、仕事から帰宅すると子ネコチャン用のミルク・哺乳瓶・トイレシーツがお出迎えしてくれた。早速子ネコチャンたちを見に行った母が、もう暮らす気満々で勇んで買って帰ってきたのだ。段ボールを改造していそいそとネコチャンの寝床づくりに勤しんでいる。その晩、父がネコチャンと一緒に帰ってきた。母はネコチャンだけを大急ぎで抱え入れて、父と私を外に閉め出した。開けろ。

 ネコチャンは、ぎりぎり目が開いたばかり。我が家に来る前に動物病院で診てもらったところ、生後3週間ほどだそうな。ご飯もトイレも移動も自力ではままならなかった。この頃は目が開いていても真っ黒で、まだ見えていないらしい。小さいしふわふわだし、抱えてもまるで重みを感じなかった。あまりに小さすぎて心配になった。親兄弟と離されたことを感じるのか、よく鳴いた。心配からか寝つきが悪く、朝5時には家族全員がネコチャンに群がっていた。(でもたぶん父と母は一晩中、数時間おきに世話をしていたと思う。)

 9月9日ごろに生まれたっぽいから、きゅーと名付けた。後になって、本当はもう一週前だったと気付いた。きゅーと呼ぶときちんと来るので、改名はしない。

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【ネコチャンとミルク】

 きゅーはミルクをよく飲みたがった。空腹時のギャン鳴きはすさまじく、指を吸わせてごまかしながら出来上がりを待った。ミルクのにおいがするのか、きゅーは哺乳瓶にまっしぐら。よく見えていないはずなのに、生存本能はすごい。タオルと毛布の山を這いずり回って突き進む。なぜか哺乳瓶の先っぽをパパパパパパパパパパパッと超高速で往復ビンタするので、そこら中にミルクが飛び散る。大人しく飲みなさい。

 きゅーはミルクが大好きなので、たとえ兄弟たちが離乳食に移行したとか、ミルクがあるとむしろ嫌がるとか、どんどん成長していっても、かたくなに哺乳瓶を離さなかった。それでも歯が生えてきたことで哺乳瓶の先をいよいよ噛みぎってしまい、自ら哺乳瓶の卒業を告げた。残念だったな!固形物を食べるんだよ!離乳食を食べ物と認識するまでに1週間はかかった。

(その後、ウェットフードとカリカリを山ほど食べるようになり、動物病院で「肥満まっしぐら」と言われるまでになる。)

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【ネコチャンと便秘】

 きゅーはしばしば便秘だった。ミルクをたらふく飲んで腹がまん丸に膨れてぽてぽてと転がっていても、小はビシャビシャに出しても、大は一向に出なかった。液体しか摂取してないにしても心配になる。そもそも子ネコチャンのうちは自力で排泄ができないため、小にしろ大にしろ肛門を刺激してやらねばならない。本来なら母ネコチャンがぺろぺろと舐めて促すそうだ。ティッシュでつついたり、腹をなでたり、風呂で温めたり、ネットとYouTubeで見つけた方法で試行錯誤を繰り返すも、出るのはやはり小ばかり。病院で女医さんに根気強く揉んでもらったところ、その場に居合わせた全員が引くほどもりもり出した。そんなにため込んでたのか。

 ミルクを卒業して離乳食になった頃、ようやく女医さんのテクがなくとも大を出させられるようになった。固形物を出すには固形物を食わせんだよ!!

 そこまでくれば、自力でもりもり出すようになるまであっという間だった。今となってはうらやましいほど出す。トイレのへりに手をついて、なぜか立ちながら踏ん張る。なんだろう、巻き具合がいいのかな。時々フローリングにぽろんと転がっていたりする。寝起きや遊びで興奮している時は、無意識に少しだけはみ出してしまうらしい。みんな足元をキョロキョロしながら歩くようになった。この世は地雷原なのだ。

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【ネコチャンとIQ】

 きゅーはたぶん天才ネコチャンで、IQが700くらいある。そのうちハーバードも卒業する。だってトイレを教える前に覚えた。それこそ、ミルクを飲んでいる頃から、尿意を催すと自力でトイレシートまで這い、股を広げて「おう頼むわ」といった感じで待っていた。はい、揉ませていただきます。どうぞお出しください。ニンゲンはネコチャンの召使なのだ。

 目で物を捉えられるようになったきゅーは、おもちゃを手っ取り早く捕まえるにはおもちゃを操っている手を摑まえればいいことに、いち早く気付いた。天才なので仕方ない。我々ニンゲンは毎回アルコール消毒の沁み渡る手になった。IQ700の割には、ニンゲンを噛んではいけないということを覚えられない。少し抜けてるところがあった方が可愛げがあるというものだ。

 さらに知恵をつけたきゅーは、画期的な狩りを考案する。きゅーがダイニングで鳴くと、ニンゲンが猫のご飯を作りに来る(この一連に気付くだけでもIQが354くらいある)。そこで、きゅーはダイニングチェアの脚に体を潜ませて「にゃあ」とかわいらしく鳴く。まんまとおびき寄せらせたニンゲンがのんきに近づいてくるのを待って待って待って…、勇んで飛び出し獲物(ニンゲン)を捕らえるのだ。なんともまあ賢い猫である。例え丸見えでも、本猫としては隠れたつもりであり、うずうずと尻を揺らしながら飛び出すタイミングを今か今かと伺っている。そんな健気な姿を見たら、心を奪われて罠にかかってしまうのがニンゲンというものだよ。もしかしてここまでが計算か。いやそんな馬鹿な、それはさすがにIQ12000になっちゃうよ。

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【ネコチャンと食卓】

 きゅーは、ニンゲンの夕飯中も自分のご飯と信じてやまない。陥落が容易いランキング堂々第1位にランクインした父の足で鳴くわ齧るわやりたい放題。「獣」「獣」と散々言ってきた父だが、何気に先陣を切ってきゅーを甘やかしていたのだ。かわいいから仕方ないね。

 なんて油断をしていたら、あっという間にダイニングチェアに跳び上がれるようになり、父の膝上に収まった。最近は夕飯の定位置になっている。どれだけ食べたかろうと、飼い主としてあげるわけにはいかない。父は、「やめてよ~」と今まで聞いたことのない弱弱しい声で抵抗を示す。誰だ。今にも絆されそうで、私の監視の目が光る。決して嫉妬ではない。もらえないことが分かると、次席の絆され候補のもとへやってくる。器用に私の背中を駆け上がり、肩の上で爛々とスタンバイ。いつでも食べられますよ、はいどうぞ。いやだから食べちゃダメだって。あなたさっきカリカリ食べたでしょう。鉄の意志で自分の口にだけせっせとご飯を運ぶ。首を伸ばしてネコチャンの猛攻を避け続けていたら、ここ最近で首が2cmほど伸びたと思う。

 騙されないでほしいが、こんなに可愛らしく寄ってくるのはご飯の時だけだ。その他は、噛みたい時しか寄ってこない。痛い。

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 過保護に過保護を重ねて約3か月。あれやこれやと心配されてきたが、今のところ順調に育っている。(と言おうとしたら今朝方捻挫した。)それもこれも、父母の努力と、みんなからの支援と、生きようとするきゅーの頑張りだ。猫らしかったり猫らしくなかったりするが、元気に生きていればそれが一番じゃん?

 存在しているだけで「かわいい」「かわいい」ともてはやされ、一挙手一投足に「天才!」「天才!」と声がかかる。ネコチャンは偉大なのだ。これからも、どうぞよろしく。

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本犬だけが知らない話

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 彦丸は、その顔に似合わず少々ややこしい立場の犬だ。本犬は何も気付いていない。

 

 12年前のセミが鳴き盛る頃、ブリーダーの元で生まれた。血統書付きの立派な柴犬である。ずんぐりむっくりだし黒いしで、実はたぬきとのハーフなのではと疑った。Googleフォトは優秀なので、この頃から変わり果てた現在までの全ての彦丸をアルバムにまとめてくれる。

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 叔父が娘の誕生日プレゼントとして買ったはいいが、アパート暮らしなので飼えないといって、一応預ける形で祖父母の家に置いていった。なんで買ったんだ。どの理由がどこまで本当なのか分からないが、先代のボルゾイを亡くして以降、意気消沈していた祖父は満更でもなさそうだった。

 経緯はともかく、犬を好んでいる私はひそかに沸いた。祖父母の家(祖父母の家と豆腐屋家は同一敷地で建物は別という、これまたややこしい構図をしている。互いの玄関まで時間にして30秒かからない。)に行って、膝の上で彦丸を寝かしつけたりした。身動きがとれなかったので、蚊の餌食になった。

 

 しばらくして、私は進学・就職のために実家を離れた。時々しか会わなかったが、彦丸はなかなかにふてぶてしく育ったと思う。まず撫でに行くと、嬉しそうにすり寄ってきてかゆい所を押し付けてくる。かゆみが収まると、満足そうにどこかへ行く。さながら孫の手だ。

 遊んでほしい時には、サッカーボールを渡してくる。マズルで器用に転がす。すぐに返さないと吠えられる。結構有能なキーパーで、大概のボールは止められた。(私の運動神経には触れてくれるな。)

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 帰省の際には、天気が合えば彦丸を洗った。彦丸にとってはとてつもない迷惑な話だが、それくらいしかしてやれることがなかったとも言う。祖父母には犬を洗ったりブラッシングしたりという感覚がなかったため、おそらく彦丸にそういうことをしてきたのは私だけだと思う。そういう事情なのでもちろん両家屋内の風呂場の使用は許されない。外の水道に向かうべくリードを取っただけなのだが、彦丸は散歩に行けると意気込んだ。水道の近くに繋がれたことで、ようやく危機を察知し、逃れようと必死に暴れた。例に漏れず、水を蛇蝎のごとく嫌っているのだ。足の間にがっしり挟み込んで、自らも水濡れ泡だらけになりながら、彦丸を洗っていく。聞いたことのない、情けない声を上げて抗議した。それでも祖父のしつけの賜物か生来の性格か、基本的に「人を噛む」ことはしない。ガクガクに体を震わせながら涙目で「くぅ~~、うぅ~~ん…」と消え入りそうに鳴かれると、悪いことをしている気分になる。気分だけだ、正義は私のもとにある。

 そんな風に8年を過ごした後、私は実家へ戻った。

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 戻ってすぐは無職だったので、彦丸に構う時間が多かった。きれいごとを言えば、自分の飼い犬ではないにせよ、ほったらかしにされているのを見過ごせなかったし、ストレートに言えば、なんやかんやかわいかったし、犬が好きだし、とりあえず暇だった。

 この頃、もう祖父は満足に歩けずに入退院を繰り返していたし、祖母も認知症を発症していて犬の世話が難しかった。そもそもの発端である叔父は、彦丸の異父兄弟にあたる犬をなぜか本当になぜか飼っていたが、彦丸を引き取ることはなかった。当の本犬はそんな状況は知る由もなく、祖父母のことが大好きだった。あと近所の白い女の子の犬にメロメロだった。夜な夜な脱走しては家の前に張り付いて一晩中鳴いていたと、白犬のご主人から聞いた。リードの固定方法を変えた。

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 温かい気候の間、私は飽きもせずに犬を洗った。回数が増えたことで彦丸も段々と慣れる…なんてことはなく、向こうも飽きもせずに毎回脱走を図った。彦丸が覚えたのは、私がホースを取り出すと地獄が始まるということだけだった。

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 祖父は亡くなり、祖母の認知症も進行している今、彦丸としてはなかなか満足のいく生活を送れていないことだろう。私も細々と職を得て、構ってやる時間が減った。帰ると、車の見えた瞬間に小屋を飛び出して車線に出る。出るな。退かしてから、轢かないように気をつけてじわじわと進めば、しっぽをブンブン振りながら並んで歩いてくれる。歩くな、止まってろ。

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 12歳を超えてシニアになった今でも元気いっぱいで、散歩も大好きだしご飯ももりもり食べる。ドッグランに行くたびに受付の人から驚かれる。ちなみに彦丸が愛食しているご飯は、ユニ・チャームの「愛犬元気パックン/13歳以上用」だ。みんなよろしくな。

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【ネタバレ】シン・エヴァンゲリオン劇場版を観た

【警告】包み隠さず思うがままに吐き出すので、どんな内容でも知りたくない人は今すぐ閉じてください。解説でもありません。これを読んでエヴァを解釈できるわけではありません。

 

警告したので、以下一切の遠慮なく書きます。この注意喚起をするという理性さえ保てない。

意味わかんないと思う、すまん、しっりはめっつでれっつだ。今回はいつも以上に読み手を度外視して、私の満足のためだけに書いた。もちろん(?)、時系列もぐちゃぐちゃ。思いに従って書いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エヴァがさー、まさかエヴァが終わると思わなかったしエヴァがちゃんと話を繋げるとも思わなかったし、エヴァで泣くとは思わなかった。私涙もろいけど、エヴァに泣く要素ある?ないでしょ?泣いた、なんで。なんかもう勢いに泣かされた。みんなの必死な勢いに。泣くしかなかった。そもそも初っ端のこれまでのエヴァっていうダイジェストの段階で半泣きだった。むしろここではまだ耐えた方。終わる頃にはハンカチびしゃびしゃだが?

 

端的に言うと、旧劇の流れに沿うような沿わないような、牧場物語→2人はプリキュアまどか☆マギカ

始まってしばらくすると、牧場物語です。そう、野菜を作ったり村を見回ったり恋愛したりします。釣りもするからあつもりの方がいいのかな?どっちもやったことないから知らんけど。

アスカがしなしななシンジくんにキレまくってるけど、みんなからお前のせいだお前が世界壊したって散々!さん…っっざん!責められたのに、なにうじうじ自分可哀想アピールしてんだうっざいとかよく言えるな。ケンスケてめえもだぞ、ミサトさんだって苦しんでるとか言うな!言うな言うな!!!!シンジくんがばちくそ辛いのに変わりはねえんだよ!!!!それでもレーションを食べるシンジくんがシンジくんofシンジくん。ベスト。やると思った。そういうとこだぞ。

え、てかなんでトウジ…?生き、え…????私てっきりニアサードで死んだと…。Qの時のサクラのガチギレ案件は、なぜ…????え、なんであんなにシンジくんサクラにくそ怒られたの????トウジ生きてるよ????お父さんは死んだから?シンジくんがエヴァに乗ると周りも本人も不幸になる???シンジくんがゼルエル止めて、カヲルくんが扉止めてなかったらお前ら全滅だが???は??

いやまあそう、委員長とトウジね。漫画やアニメ版ではお弁当にくそ泣かされたけど(えっ私泣いてるやん涙腺おばけなのか)、フラグはあったもんね。よかった。幸せな2人を見れてほんとによかった。成仏しかけるわ。トウジ相変わらずいいやつだな、シンジくんと出会った人間でまともかついいやつ。やっぱ情に厚いからかな。あとは初対面で殴らなければ完璧だな。でもそれも情の厚さゆえだもんな。

アスカと!?ケンスケ!?!!?!??!意外意外意外意外意外意外意外意外意外意外!!!!!!意外中の意外!!!!まさかの!?えっ!?ケンスケって割と失礼でどうしようもない男だぞ!?アスカ!?!!?!??!アスカちゃん!!!!

私はTV版と旧劇を通して、シンジくんはアスカのことを好きだったんだなって思ってたから。なぜならレイの裸に赤面はしたけど、シンジくんが抜いたのはアスカの裸だからな。今回は無反応でしたけどね。

それはともかく、これはこれでまた別の物語なんだよな。いつか言ってたように、いくつもの終わりがあるんだもんな。シンジくんがどれを選んでもよいのだ。だから作りがセットになってたり、なんたらかんたらのあの空間が撮影所になったりしたんだろうな。

でも破の頃は好きだったって、お互いが言えてよかった。私は泣いた。2人ともそんなことを言えるようになったのね。ガキガキ言うけどアスカも大概ガキじゃない?

 

あー、目しばしばする。泣きすぎたせいだ。うーーー、余韻の冷めぬうちに、鉄のアッツアツな今書かねば。泣きすぎて頭ぽわぽわする。水くれ。

 

つか、え、は、待って。待って待って待って。ミサトさんとカジさんの子ども!?ケンスケ今子どもって言った!?!!?!??!こここここここっこ子ども!?カジさんは!?シンジくんナイス!!よく聞いてくれたファインプレー感謝最高!!!!!!しんどんのかーーーーい!!!!このシンエヴァでカジさんの名前やたらめったら出てきてわろた。Q全然出てこなかったもんね。私の記憶だとスイカ畑で終わってたもんね。

 

さてこの牧場物語、一番成長したのはアヤナミ(初期ロット)です。結局アスカよりもシンジくんよりも誰よりも社交性あったのアヤナミなんじゃ…???周りの優しさにきちんと向き合える。あ、アスカが村に降りれない理由分かんないけど、まあアスカが村でやってけるとは思えん。

ねー!あれねー!ずるかったねー!涙、ずるい〜!!!!お手紙〜!!!!あーずるいずるいずるい!!!!泣かせにくるやん!!!!!!!!はあ!?おまじない〜〜〜。ここにいたいっていうその居場所、シンジくんが守るからね。エヴァに乗る以外の居場所があっていいんだからね。

 

牧場物語が終わって、ちょっと鬱から脱却したシンジくんは自らヴンダーに戻りました。ここ、きつかった。1ミリも説明されないまま会う人全員から憎まれたあの場所に帰ってきて、前よりさらに厳重に警備されて。私の心がぶっ壊れそうだが???その檻ぶっ壊そうか???

でもねー、今回最大の良き点は、ミサトさんの心がわかったことかな。後悔してたんだな、破で「あなたの望みを叶えるために」って背中押したこと。シンジくんに背負わせたって苦しんでたんだな。

でも望んでたことじゃん?言われたからやるんじゃなくて、シンジくんが自分の意思で行動すること。だから私は間違ってなかったと思うよ、あそこでミサトさんが背中押したこと。だからこそ、もう何もしないでって言ったんだなってわかったので少しだけ溜飲は下がりましたけど、言い方あるだろ。んん、いや前のシンジくんなら言われた通りにしてたから、そこは読み誤ったというか怒気で感情をカバーした結果だったのかもしれん。そして今度こそ全部の責任を背負うためにDSSチョーカーつけたんだもんね。でも説明はしてあげて。何回でも言うけど、Qの時にお前ら全員説明して。

ミサトさんが、シンジくんの命に責任をもつところ、好きだなあ。泣いちゃった。上司だからって言うけど、保護者なんだよな、なんか言葉だと事務的に軽くなっちゃうけど、なんていうかな、そうじゃなくて、ほんとに字目通り、シンジくんを保護してくれる人。お母さんにはなれないけど、母になった葛木ミサトの言葉は重い。なんかもう母じゃん。そういう人だった。Qでボロクソ言ってごめんね。

そんな!!!!ミサトさんの思いを知ってさあ!!!!シンジくんが、半分背負わせてよって、僕がエヴァに乗るよって……。今まで自分から行動することや、その結果自分が責任を負うことを避けに避けまくっていたシンジくんが!!!!ミサトさん!!!!!!!!ここで私は涙が止まらなくなった。なんなら思い出して書いてる今もそれに近い状態である。シンジくんが落とし前つけるって。シンジくんのしたことじゃないのに、ゲンドウがやったことなのに。村で暮らしてみてよかったな、大人になったな。くっ、泣ける…っ!!!!

 

ミサトさんの葛藤にずっと付き合ってくれるリツコいい女だな。アニメ版と違ってゲンドウとの不倫がないから余計いい女。

私あのメガネのクルーめちゃくちゃ好きなんだけど、全然名前覚えられない。TV版からずっと好きなのに。あとたぶん内山くんが声当ててたクルーも好き。大原さんの声の人も好き。

 

冬月は、苦しいね。苦しい立場だ。ユイもマリもゲンドウもみんな教え子なのに、みんな違う立場に行っちゃった。それでもみんな副司令、先生って呼んでくれるのは、冬月の人望なんだよ。冬月がユイを好きなことは複雑な気持ちだけど。

 

ププププ、プリキュア始まったかと思った〜焦った〜。アスカとマリ、2人はプリキュア!?知らなかった…。てか雑魚エヴァ多すぎないか???

分かっちゃいたけどMX4D揺れすぎてシートベルトほしかった。あっやめて足ペシペシするのやめてやめっやっやめろ!!!!ペシペシすんな!!!!全然集中できないので、初見は通常をおすすめします。断固。MX4Dのエンタメ性、エヴァにいる?エヴァでエンタメ摂取したいとかある?世の中広いからあるのかもしれん。

アスカの髪が伸びるのは人間の証って言ってて、アヤナミも伸びてたからそういうことなのかもしれない。マリは人間なのかな。「波」ついてるし、年取ってないしあやしい。

私もうアスカが量産機にボコられるの観たくないが???トラウマだが????やめてやめてやめてやめてあああああああああーーーーー!!!!なんでアスカのエントリープラグを食べるんだよおおおおおっっっっ!!!!やめろおおおおっっっっ!!!!

アスカの心も少し掘り下げてもらえて嬉しい。

 

ゲンドウがビーム撃てるようになっててわろた。脳みそぐちゃぐちゃですけど大丈夫ですか。

 

シンジくんが初号機に乗るのが一番好き。こまけぇこたいいんだよ。初号機とそのパイロットは碇シンジ。以上。それ以上でもそれ以下でもない、何物でもない。

父親、殺しに行こう。あの粘着系コミュ不足を。

ここのーー!!!!ここここここここここ!!!!ここのミサトさんとシンジくんのハグにーー!!!!あああああああ!!!!涙が!!!!涙がーー!!!!だって!!!!2人はさ、破で腕を掴めないまま終わってたんだよ!!!!その!!!!2人が!!!!Qを超えて!!!!ハグ!!!!泣いた、泣くわ、そんなん、無理やん…

 

私ずっと、ゼーレの人類補完計画自体はヒトとヒトの境界(ATフィールド)をなくして、一体化させることで、ゲンドウはそれを途中で切り替えてユイを創る?生き返らす?ことだと思ってたのね。

TV版も漫画版も一旦全人類一体化した後、シンジくんがやっぱりきちんと他人とも向き合うからATフィールドあるままで頑張るから、世界を戻そうってするじゃんね。今作は違うエンドなんだな。

シンジくんすごいな、知らなかった。ゲンドウはユイを見送りたかったって?え?何も気づけないが?だって何も喋らんし、あのくそ親父。今作はゲンドウの独白が多くてびっくりした。くそ語るやん。幼少期から全てに至るまで。分かったのはコミュ不足ってことだけだった。えっ全人類巻き込んどいて心中したかっただけなの???やばない???うそでしょ???ほんまなんかい。

 

あ、相変わらずコンテと実写は入れるんだ。後半に。伝統芸能にする気か???義務なのか?法規定だったりするのか?ええけど。旧劇意識なのか、そもそもそういうものなのか。そういうものってなんだよ。

 

もうだいぶ前から世界線もくそもわけ分からんけど、シンジくんが父親と話せるくらい大人になって、ゲンドウがどうしようもないコミュ不足だったことはわかった。

まどマギ始まったのかと思った。シンジくん宇宙になっちゃうの???

アスカもレイも救われたのかな。カヲルくんも。

カヲルくんはさ、シンジくんへの気持ちはゼーレに仕組まれてたって言ったけど、シンジくんを幸せにすること(安らげる居場所を与えること)で自分が幸せになりたかっただけなんだって、でもそれはシンジくんの幸せじゃなかったんだって言ったけど、それでもシンジくんはカヲルくんにいてもらえて幸せだったと思うよ。Qは特に。ほんとに。Qで説明っぽいことしてくれるのはカヲルくんだけ!!!!カヲルくんの涙に泣いてしまった。泣かないで!!!!カヲルくん泣かないで!!!!私が泣いちゃう!!!!もう泣いてる!!!!

えー、オールスターだね。まさかカジさんも出るとは。つか、カジさんに指令出してたのカヲルくん…なの…????何が?どうやって????

ネルフの通り行くとシンジくんを幸せにできないから???いやだとして、どうやっ…えっカジ!?

つかヴンダーのメンバーって、カジさんの集めてた人なのか。ふうん。別にいいけど、たらこ唇ピンクボブは往復ビンタさせろや。なんなのその反抗期。ミサトさんもどうせ言うならもっと早く言ってよ!!!!ニアサードを起こして人類を壊滅させたのはシンジくんだけど、あのゼルエル戦の時にシンジくんが初号機に乗って戦ってなかったらそこで全滅してたって!!!!早く言えよ!!!!全員分かってんだから恨むなよ!!!!トウジだけじゃねえか分かってくれたの!!!!

 

マリかよ、マリなのかよ…おい嘘だろ…シンジ…。疑わずに聞いてほしいんだが、マリはお前のパパとママの同級生だぞ???たぶん。知らんけど。

急に出てきて、一気にフューチャーされたと思ったら、おい……。まじかよ…。シンマリ…。シンマリ????????聞いたことも考えたこともない言葉だから、嚥下できんな。

マリもしかしてアスカのお母さんなのかなって説信じてたからびっくり。

このために今作はマリを入れたのか…????

 

シンジくんが、泣かないよってところで泣いてしまった。ごめん、自分が救われるために泣きました。私はいつもそうです。ごめんシンジくん。

緒方さん前半ずっと吐かされててかわいそうって思ってたら突然穏やかな声するんだもんなー。無理、泣く。穏やかにミサトさんの死を丁寧に受け入れるシンジくん大人すぎ無理〜、好き。最高に主人公ムーブしてくれるやん。好き。

ひええええ〜声変わりしたら神木隆之介になったが????え、なに、どうゆう…????つかこの世界は何???時間戻さないし過去も変えないけど、エヴァの要らない世界にする言うてたけど、この世界はどういう何なのかだけ教えてよ!!!!ねえ!!!!

え????????えっだよね?あれ神木くんだったよね????ねえ!?!!?!??!神木隆之介じゃん!!!!はあーー!?いい声ーーーーーー!!!!!!!!

 

漫画版の、あの、夏しかない世界だったからこそ、シンジくんが再創生した世界で雪の降りしきるエンドも好きだったけど、こういう終わりもあるんだな。

海と大地と魂の浄化だったのか、ふうんへえ、ほお、まあ……。ふうん?

難しいこたいいんだよ、私はエヴァのそういうところは聖書とかそういうのちゃんと読んでる人の解説聞いてから考える。聞いても分からんけどたぶん鵜呑みにする。

 

 

碇と、波と、渚が、なんとなく繋がったような繋がらないような。アスカが惣「流」じゃなかったのは、「波」がパイロット用に作られたコピーだからなのか?だとしたらマリは?マリも「波」ぞ。なんでヒロイン枠変わったの?

 

シンジくんさんになったのね、おめでとう。おめでとう。

終劇

豆腐屋之印を作る話

印を作りたい気持ちになったので、作っていきたいと思う。石は彫りやすいけど準備も制作も大変なので、今回は消しゴムで作るよ。柔らかすぎてムニムニするので私はむしろ苦手。

 

①準備するもの

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・書道辞典(携帯版とあるが持ち歩いとる人間と出会ったことはない、全員不携帯)
・消しゴム(彫る用なので表面だけ色がついてる)
・持ち手の木(なくてもいい)
・カッターマット(なくてもいい)
・カッター(刃先が細いと尚良い)
・紙、ペン、消しゴム(デザイン用)
・鉛筆(転写用なので濃いと尚良い)

・朱肉(試し押しに使う)(写真に入れ忘れた)

 

②デザインを決める

字を決めて、辞書で篆書体(後述)を調べる。

ほんとは白文・朱文(後述)それぞれに篆印体(篆書体で印作る時用のフォントみたいなの)があるけど、それは載ってないので、以下の特徴を踏まえていじってなんとかします。

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【篆書体】

石とか土器に彫っていた字。漢字の原型。縦長で、字画を上の方に詰めて下に広い空間を作ることで脚を長く見せる。美脚。左右対称にしたがる。筆の字じゃないので、止め・撥ね・払い・折れなどはない。方向転換もうねうねとカーブする。縦画は垂直、横画は水平を強く意識する。線の太さは始終均一。今は印か看板ぐらいしか見かけないかもしれん。

【白文】

文字が白い(=文字部分を彫る)ので、白文。彫る面積を広くするため(そっちのが美しいと言われる)に、画をめちゃくちゃ太くするので、点画を省略したり直線的にしたりする。名前や雅号(書作品用ペンネーム)を彫ることが多い。

【朱文】

文字が朱い(=文字以外を彫る)ので、朱文。彫る面積を広くするため(そっちのが以下略)に、画をめちゃくちゃ細くするので、その分点画をうねらせたりする。座右の銘や格言みたいなのを彫ることが多い。落款印とか遊び印。

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これで言うところの左行が白文。中央行が朱文。右行はなんでもないよ。

いくつか骨書きを書いてみて、今回は未だかつてない五字くらいを彫りたくなったので、よさげなデザインに肉付けをする。

そして肉付けしたものがこちらです。

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この後の修正は厄介なので、ここで完成と同じにしておく。持ち手にする木が3センチ角ぐらいだったので、サイズはそんなもんで考えた。

 

③転写する

石の場合はデザイン画を鏡に写して、反転させた文字を見ながら、白い胡粉と細い筆で石に直接書くとかする。終わらない。それか除光液を使って転写する。文明ありがてえ。

ゴムへの転写なのでそのまま書いた面をゴムに向けて、ずれないように固定しながら爪でギャギャギャギャッと圧を加える。鉛筆で濃く書いてないと悲惨。均等に満遍なく強く押し付けることが大事。

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押し付けられていなかったところがあったので霞みがかりました。そういう時は鉛筆でちょちょっと書き足して何事もなかったかのようにしれっとすることが大事。

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④彫る彫る試し押し彫る彫る試し押し

白文は鉛筆の線を彫る。朱文は逆に鉛筆の線を残す。書き順はないので、広々とした画数の少ない字や直線から彫った方が楽。カーブは慣れてから挑むこと。

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一通り彫れてから試しに押してみる。一通り彫り終わるまでは押しちゃいけない。

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デザイン画と比べたり、審美眼で見たりして、歪んだところを見つける。印影だったり印面だったりに直接書き込むといい。

チェックポイント

・画が細くなったり太くなったりしてませんか?

・画の始めと終わりは丸くなってますか?

・カーブは尖ってませんか?

・左右対称ですか?

該当するところ多いな、もう。チェックしたところを彫り終えたらまた試し押し。デザイン画と同じ印影になるまで、ひたすら繰り返す。

画や字を結合・消失させないように気をつけてね。

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うむ、…よかろう。初めの試し押しとの変化が伝わったら嬉しい。朱文は特に。

こうして見ると白文・朱文の違いがお分かりいただけるだろうか。

余談だが、朱文は枠を作ることが多い。白文もやっちゃいけないことはないけど、枠入れるくらいなら字太くした方がいいって感じなのか、あんまり見たことはないなあ。今回は外枠だけだけど、マス目みたいに字に枠を入れることも多々ある。もちろん字と枠も結合させないように彫る。さらに、枠の幅よりも字画を細くしなきゃならない。このルール考えた人はおそらく頭がおかしい。枠に亀裂やヒビをワザと入れる「不完全な美しさ」という美学もあるが、ワザとやらんでも勝手に入るので気にしたことはない。

 

最後、木工用ボンドで持ち手を付けたら完成。ほんとは持ち手の上面に印影を残しておくと、今後押すときに向きが分かりやすいが、サイズをミスってはみ出てしまった。悔しい。なので今回はやらない。頻繁に押すわけじゃないし、毎回向き確認するわ。

 

と、まあこんな感じで印ができました〜。いえーい。石と違ってスルスル彫れてしまった。(石は彫る作業だけで3日くらいかかる。ゴムはそれぞれ一晩で終わった。)ちょっとあっけない。

ただ朱文の細かいところも刃先でちょこちょこすれば削れるのはありがたかった。石ではこうもいかん。調整しやすかった。

これらはサイン代わりに押していきます。

まだ材料余ってるから何か彫ろ〜。

 

【おまけ】

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石の印面はこんな感じ。これは八分印の朱文。朱文にしては線が太すぎる。字画の数にもよるが、本来これの半分くらいの太さが望ましい。ちきりやがったな、過去の私め。半折から全紙あたりの作品に使える大きさ。使い勝手よい。

ガリゴリ彫れるのは結構気持ちいい。彫るのには、印床というものに石を固定して、印刀を使う。印刀は小さなノミみたいな、マイナスドライバーみたいなの。勢い余って字をふっ飛ばした時の絶望はクセになる。

木の持ち手みたいに上に押せないので、印影は別で取ってかないといけない。くしゃくしゃになるので丁寧な保管を心がける。

ガチの人は印の側面とかにも彫刻を施す。龍とか。あの、金印みたいな…。あれ四角じゃないじゃん?ああいうことする。

石は朱肉やスタンプ台では押せない。印泥という、なんかいろんな草花を練り練りしたものを使う。ド高いし、作品も書いてないので当方現在未所持。いつか手に入れたいが、入手も保管も容易ではない。

 

印だけで、これだけ印なんちゃらって言葉が生まれたぐらいだから、昔昔には重たい意味があったのか、深い関わりがあったのかもね。