行成様の話

あ、前回、日本は行成様しか書いたことない~とかほざいたけど、嘘でしたわ。高野切第三種も書いてた。あれは伝・紀貫之だったかな。和歌とは思えないほど漢字ばかりのところを担当したがな!!死ぬかと思ったわ!死なんけど!!

 

それはともかく今日は行成様です、行成様。ええ、はい。

まず行成様がどんな人かというと、言わずと知れた藤原家です。ゆきなりって読む人もいるし、こうぜいって読む人もいる。私は後者。wikiは前者だった〜〜😇😇😇😇残念!解釈違い~~😇😇😇😇😇とにかく、とんでもなく書がきれい。書家として書いてたわけじゃなくて、漢詩や和歌を勉強のために書いてたんだと思うけど。あ、でもなんか王羲之を勉強した小野道風に学んでたって書いてあったからやっぱり書家なのかも〜。まあ、そもそも字を書けるのが一つのステータスになる時代に、さらに書が美しいのはもう超ド級のイケメンです。昔って顔を合わせずに和歌を送り合うだけでやりとりしてたじゃん?和歌の技巧も大事だけど、字そのものもめっちゃ印象の決め手になるわけよ。たぶん。たしか。

それで、行成様がどのくらいイケメンかっていうと、日本のベスト3に入るほどイケメン、書が。例えば、中国の超ド級の書家は、「初唐の三大家」( 虞世南 ・ 欧陽詢 ・ 褚遂良)とか「唐の四大家」(さっきの三人に顔真卿を足す)がおって、もはや神こと「書聖」王義之もおんるやけど、それに倣ったどうか知らんけど、日本には平安初期の「三筆」(空海嵯峨天皇橘逸勢)とか平安中期の「三蹟」(小野道風藤原佐理藤原行成)ってのがあるわけよ。見た?今いたね、行成様いたでしょ、ちゃんと見て。いる〜行成様いる〜〜!!!!ほらな!!ベスト3なんだよ!??!?!!?!??!

 

真蹟作品(間違いなく行成様が書いたって偉い人も認めてるもの)は、最近私が騒いでる「白氏詩巻」、「本能寺切」が有名どころ。ところが!私と行成様の出会いは違いまぁす~~!

 

【「粘蝶本和漢朗詠集」】

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これが私と行成様の出会いの作品〜🤗🤗🤗🤗ただですね、一つ問題がありまして、これが誰が書いたかはっきりしない、けど!結構似てるから今のところは行成様でいいやってことで、伝・藤原行成となってるだけなのである。だから、いつか明らかになったとき、私は行成様と出会ってたのか出会ってなかったのかがはっきりする。くそつら。まじか。

粘蝶本は中綴じって意味。蝶みたいに、半分に折った紙を広げて、折り目を糸で綴じてる。紙は柄が入っててかっこいい。唐紙(輸入品)だった気がする。金粉で唐草模様とか描かれた紙。金持ちだね。

内容は、それぞれのテーマごとお気に入りの和歌と漢詩を交互に詠んでる。教養の深さがにじみ出まくってるやんね。大学時代に秋の段を臨書したけど、うーーーん…痩せすぎだなぁ。モノホンはまじでこんなん比べ物にならん。仮名も漢字も、もっと柔らかくて肉肉しかった記憶がある。

臨書の最終行に「粘蝶本和漢朗詠集 (名前)臨」って書くところを、「朗」の字を飛ばしたのは今はいい思い出。しかもそれが一番いい出来だったので、結局(最終行だけ切って、別紙に書いたものを継いで)出品したという世にも奇妙な物語が残っている。いえーい行成様サイコー!!!!🤗🤗🤗🤗🤗

 

【「白氏詩巻」】

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うっ、下が揃わなくて恥ずかしい😇😇😇😇😇

名前からし李白の詩を巻物にまとめたもの、だと思う。ちゃんと勉強してないから怪しい。

よく言われるところの「ミミズののたくったような字」に分類されるかもしれん。漢字です。仮名っぽいのも一部入ってるけど、一応漢字。草書になるのかな?和様ってどう分けるんだろ。見てるだけだとわからん字も、なんとなく書くと分かるから不思議よね。慣れもあるけど。崩し方が理に適ってるからなんだろうな。すごいね。

見て!墨継がかっこいい〜!!!!このリズム感たまらんね!!!!やっぱりこれくらいダンッと入ってくるのがいいよね〜!

ちょっと補足すると、行書、草書、仮名あたりはスルスル書きたいので画や字が繋がることはもとより、いちいち墨をつけたりしない。ので、だんだん掠れていく。掠れ切ったらようやく墨をつける。頭いい人は見せ場に墨継を持ってこれる。自然な流れに見せかけて調整してる、はず。墨継が横並びになるとダッサイので避けたいし。

てかなんで墨たっぷりなのに字潰れないんや🤔🤔🤔🤔点画の省略が神ってんだな、その字だと分かる程度に省略するのがうますぎる。行成様頭よきじゃん。センスありすぎ。

女篇とかまじ書く気あんのかってくらいシャッシャッシャッって3画引いてあるだけに見えるのにバランス取れてるから意味わからん。

「唯」「難」らへんの、右側に隹(ふるとり)が来る系めっちゃ勢いいいね。横画の連続がすごいザッザッダンッ!って入ってくる。最後縦画で引き締まってて最高。

撥ねがかなり伸びるのにトゲトゲしくないから不思議。なんでこの書き方で柔らかくなるんじゃ。やっぱり丸みなのかなぁ。肩ほぼないもんな。全部撫で肩。うーん、うーん、怒肩ばかり書いてきたから意識してもなかなかうまく書けん。練習が足りん。

「夜」の書き方が「粘蝶本和漢朗詠集」と同じなんだよね。本来の2画目を右から左に引いて、そのまま回して縦に1画目と3画目をぶち抜く。これかっこいいんだもんな〜。好き。定番の崩し方とかあるから、まあそれだけじゃ証拠になりませんけど。確かに似てるっちゃ似てるし、似てないっちゃ似てない。でもかっこいいからヨシ!

 

【「本能寺切」】

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これも下揃わんかった😇😇😇😇😇ちくせう😇😇😇😇

先2つと比べると痛みが激しいの書く場所選ぶの難しだよ〜🙃🙃🙃🙃🙃🙃骨書き持ってないからまじで見て解読するしかないやんね、きちい

墨継が分かりにくい。相当柔らかい筆を使ったんかな。掠れてる時も太い。墨は薄いわけじゃないから紙か筆が原因と思う。はっきりせん。

左払いとかもうまじどうなっとん。スパーンて払うだけなん?なんなん?

うわあ、「秋」が「粘葉本和漢朗詠集」と全然ちゃうやないかーーい!!やっぱ行成様じゃないのかぁ

「紫」「秋」「旅」「朱」が好き。「家」とかまじそんな崩し方するん?え、それどうなってん?なに???

って感じで楽しく書きました〜🤗🤗🤗🤗いえーい🤗🤗🤗🤗🤗

 

あ、ちなみに今回はさすがに小筆を使った。まあ字のサイズで決めたらいいんだけど、言うても小筆で書かれたものは小筆の方が書きやすいのは道理じゃん?拭うだけで洗わなくていいから小筆は便利!貰い物で初めて使ったけど、書きやすくてびびった。小筆なのに程よく肉がつけられる。毛が柔らかくて、撥ねや終筆がぴんぴんしない。すげえ。ぱっと見、中筆にも見えなくないくらいの軸の太さ。

 

行成様は1字の中ではそこそこ崩すけど、あんまり字を繋げたりしない。真面目…、というか丁寧?なのかな。おかげで書きやすい。うそ、次の画どうなっとんじゃい状態。骨書きがないから書いてみてカンで流れを追うしかない。なんてこった。もっと書かないと形も追えませんね。形全然取れないんだよな。たぶん画の角度が違う。和様は、光明皇后楽毅論」みたいに横潰しになることがスタンダードって言われるけど、行成様は縦に伸び伸びしてていい。かっこいい。好き。頑張って書く。

 

最後に、行成様の書いたどちゃんこかっこいい「変態」貼っとくね😘😘😘😘😘こんなにかっこよく書いてもらえるなら変態でええわ。余は満足。

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